資料作りで一番大変なのは、スライドを作ることではありません。 構成を考えることです。
何から話せばいいのか。 どこまで詳しく入れるべきか。 どの順番なら、相手が理解しやすいのか。
ここが決まらないままPowerPointを開くと、どうなるか。 白紙のスライドの前で、手が止まります。
なんとなく1枚目を作り始めても、途中で「この順番でいいのかな」「結論をどこに置けばいいんだろう」と迷い始める。 私は何度もこれをやりました。
そこで使えるのが、AIです。
ただし、文章を全部作ってもらうのではありません。 まず資料の骨組みを作ってもらう。 そのたたき台に、自分の数字や事例を足していく。
この使い方なら、非エンジニアの会社員でも日常業務でかなり使えます。

説明資料で一番大変なのは、白紙から構成を考えること
資料作成というと、デザインや文章のきれいさに目が行きがちです。
でも、その前に決めるべきものがあります。構成です。
構成とは、何を、どの順番で伝えるかという資料の骨組みのこと。
社内報告の資料なら、
- まず結論を伝えるのか
- 現状から説明するのか
- 課題を先に出すのか
- 数字をどこで見せるのか
- 最後に何を確認してほしいのか
これを決めずにスライドを作り始めると、あとから並び替えたり、同じ内容を何度も書き直したりする羽目になります。 経験者は語る、というやつです。
逆に、最初に構成のたたき台さえあれば、資料作成は一気に楽になります。
資料作成でAIに任せやすいのは、いきなり完成スライドを作ることではありません。 まずは「見出し」と「流れ」のたたき台を作ってもらうことです。
AIに渡す情報は「誰に・何を・なぜ」の3つだけでいい
AIに資料構成を考えてもらうとき、細かい指示を全部書く必要はありません。
渡すのは3つだけです。

- 誰に伝えるか
- 何を伝えるか
- なぜ伝えるか
誰に伝えるか
まず、資料を見る相手です。
同じ内容でも、相手によって構成は変わります。
現場の作業者向けなら、手順や注意点を具体的に。 上司や管理職向けなら、結論、数字、判断材料を先に。
資料は「自分が話したい順番」ではなく、相手が理解しやすい順番で作るものだからです。
AIに相談するときも、「上司向け」「他部署向け」「初めて聞く人向け」のように相手をはっきりさせると、構成の精度が上がります。
何を伝えるか
次に、伝えたい内容。ここは完璧な文章でなくて大丈夫です。
- 先月の実績を報告したい
- 不良率低減の進捗を説明したい
- 業務改善の提案をしたい
このくらいで十分。
大事なのは、資料の主役を決めることです。
資料を作っていると、あれもこれも入れたくなります。 でも、主役があいまいな資料は、聞く側も何を受け取ればいいのか分かりません。
「この資料で一番伝えたいことは何か」を一言で書いておく。 これが効きます。
なぜ伝えるか
最後に、なぜその資料を作るのか。
ここが抜けると、資料がただの情報の並びになります。
- 報告して状況を共有したい
- 提案して承認を取りたい
- 協力してもらいたい
- 次の行動を決めたい
説明資料は、情報を載せる場所ではなく、相手の理解と判断と行動につなげる道具です。
だからAIには、「何を伝えるか」だけでなく**「伝えたあとにどうなってほしいか」**まで渡します。
AIに構成を頼むときの依頼文
実際の依頼文は、こんな形で十分です。
社内説明用の資料構成を考えたいです。
誰に:
製造部の管理職向け
何を:
毎月の集計作業をAIとVBAで半自動化する提案
なぜ:
担当者の転記作業と確認負担を減らし、ミスを減らすため。まずは完全自動化ではなく、繰り返し部分だけを楽にする方針を理解してもらいたいです。
この内容で、5〜7枚程度の説明資料の構成案を作ってください。 各スライドのタイトルと、入れるべき内容を箇条書きで出してください。
ここまで渡すと、AIは
- 1枚目:結論
- 2枚目:現状の課題
- 3枚目:改善の考え方
- 4枚目:具体的な進め方
- 5枚目:期待効果
- 6枚目:確認事項
のような流れを返してきます。
ひとつだけ注意を。 この構成を完成版だと思わないことです。
これは白紙を抜け出すためのたたき台。 ここからが人間の出番です。
考えを整理する相手としてAIを使う考え方は、AIを仕事で使うなら、まずは「考えを整理する相手」として使うのがいいにもつながりますが、今回のポイントは「資料の骨組み」に絞ることです。
たたき台をベースに、自分の情報で肉付けする

1. AIにたたき台を作ってもらう
まず、スライドの見出しと流れを出してもらいます。
この段階で見るのは、文章の完成度ではなく、話の順番です。
- 結論が後ろすぎないか
- 背景説明が長すぎないか
- 課題と提案がつながっているか
- 最後に相手へ求める行動があるか
2. 自分の数字や事例を足す
次に、現場の情報を入れます。
AIは一般的な構成は作れますが、実際の数字や現場の事情は知りません。 ここが人間側の仕事です。
- 実際にかかっている作業時間
- 発生しているミスの件数
- 対象となる部署や人数
- 現場で困っている具体例
- 改善後に期待できる効果
資料の説得力は、ここで決まります。 AIの骨組みに、現場の事実を入れる。この組み合わせです。
3. 順番と伝わり方を整える
最後に、相手目線で順番を直します。
AIの構成は、きれいに見えても、その職場の空気や相手の関心までは織り込めていません。
上司向けなら、最初に「結論」と「判断してほしいこと」。 現場向けなら、「何が変わるのか」「自分たちは何をすればいいのか」を先に。
資料構成に、正解は1つではありません。 相手が受け取りやすい順番に直すのは、その職場を知っている自分にしかできない仕事です。
資料タイプ別に、構成の型を持っておく
毎回ゼロから考える必要もありません。 よく使う資料タイプごとに、基本の型を持っておくと楽です。

社内報告の構成例
- サマリー
- 現状・実績
- 課題・リスク
- 今後の対応
- 確認事項
報告は、最初に全体像。これだけで相手の理解が変わります。
業務改善の提案の構成例
- 課題の共有
- 原因の整理
- 改善案の提案
- 効果の試算
- 実施ステップ
提案で大事なのは、「なぜ変える必要があるのか」と「どう変えるのか」をつなげること。 いきなり改善案を出すより、まず課題と原因を共有したほうが受け入れられやすいです。
新制度・新ルールの説明の構成例
- 概要
- 背景・目的
- 内容の詳細
- メリット
- 次のステップ
新ルールの説明で聞く側が知りたいのは、結局「自分に何が関係あるのか」です。 「いつから」「何が変わるのか」「自分は何をすればいいのか」を分かりやすく。
AIにテンプレートを選ばせてもいい
資料タイプ自体が決まっていないときは、AIに選ばせるのも手です。
以下の内容を説明資料にしたいです。 社内報告、提案資料、ルール説明資料のどれに近いかを判断し、適した構成案を出してください。
内容: 新しいチェックシートの運用を部署内に説明したい。 目的は、確認漏れを減らすこと。 対象は現場作業者と管理者です。
自分で型を選べないときほど、AIに相談すると楽です。 ただし、最後に「自分の目的に合っているか」を確認するのは忘れずに。
スライドの文章まで一気に作らせなくていい
AIを使うと、ついスライド本文まで一気に作らせたくなります。
私もやりました。 そして、どこを直せばいいのか分からなくなりました。
構成と文章を同時に作ると、直す場所が見えなくなるんです。
先に構成だけを確認すれば、
- 流れは自然か
- 抜けている項目はないか
- 順番は分かりやすいか
- 相手に求める行動が入っているか
がはっきり見えます。 そのあとで、必要なスライドだけ文章化してもらえば十分です。
文章の整え方は、会社員がAIで文章を整えるときの頼み方の内容と組み合わせると使いやすくなります。
まとめ:AIには完成資料ではなく、まず構成を作ってもらう
説明資料を作るとき、一番重いのは最初の白紙です。
AIに「誰に・何を・なぜ」を渡して、骨組みを出してもらう。 そこに自分の数字や事例を足す。 最後に相手目線で順番を整える。
AIに丸投げするのではなく、白紙を抜け出すきっかけとして使う。
PowerPointの前で固まる時間が消えるだけでも、資料作りはずいぶん変わります。