ChatGPTを使ってみたけれど、思ったより答えが浅い。
一応それっぽい答えは返ってくる。 でも、どこか一般論っぽい。 読んでも「まあ、そうだよね」で終わってしまう。
そして、こう思うわけです。
「やっぱりChatGPTって、この程度なのかな」
白状すると、私も最初はそう思っていました。
でも、いまは断言できます。 答えが浅いとき、原因がAI側だけにあることは、ほとんどありません。
渡している情報が少ない。 何を知りたいのかが曖昧。 最初の回答で終わっている。
たいてい、このどれかです。
ChatGPTは、何もないところから現場の事情を読み取ってはくれません。 材料が少なければ一般論になり、目的が曖昧ならぼんやりした答えになり、聞き返さなければ表面で止まります。
この記事では、答えが浅いと感じたときに見直したいことを整理します。

答えが浅いのは、AIが悪いだけではない
もちろん、AIにも限界はあります。 間違えることもあるし、期待と違う方向に答えることもあります。 会社ごとの文化や細かい事情は、こちらが伝えなければ分かりません。
ただ、聞き方ひとつで答えの深さが変わるのも事実です。
たとえば、
「業務改善のアイデアを出して」
と聞くと、返ってくるのはこうです。
- 作業を自動化しましょう
- 情報共有を改善しましょう
- 無駄な会議を減らしましょう
- ツールを活用しましょう
間違ってはいません。 でも、現場でそのまま使えるかというと、使えません。
一方で、こう伝えたらどうなるか。
製造現場で、毎朝30分かけて紙の作業予定をホワイトボードに転記しています。元データはExcelにあります。作業者ごとに当日の予定を見えるようにしたいのですが、いきなり自動化せず、まず確認すべき点を整理してください。
答えは別物になります。
同じ「業務改善」の相談なのに、です。
だから、浅い答えが返ってきたとき、「AIがダメだった」で終わらせる前に、ひとつだけ自問してみてください。 こちらが渡した材料は、足りていたか?
まず見るのは、材料・目的・深掘りの3つ
答えが浅いとき、確認するのは3つです。
1つ目、材料が足りているか。 2つ目、目的がはっきりしているか。 3つ目、最初の回答だけで終わっていないか。
1. 材料が足りているか
ChatGPTは、渡された情報「だけ」をもとに答えます。
「この文章を良くして」だけでは、何を良くすればいいのか分かりません。
誰に送る文章なのか。丁寧にしたいのか、短くしたいのか。断りたいのか、依頼したいのか。
これは、料理人に「おいしいもの作って」とだけ言うのに近いです。 和食か洋食か、誰が食べるのか、辛いものが苦手なのか分からなければ、相手は無難なものを出すしかありません。
ChatGPTの「無難な答え」は、こうして生まれます。
深い答えがほしいなら、まず材料です。

2. 目的がはっきりしているか
次に、目的です。
「Excel作業を改善したい」と聞くより、 「毎日10分かかっている転記作業を、まず5分に減らしたい」と伝えたほうが、答えは具体的になります。
「文章を整えて」より、 「お客様に失礼なく、でも長くなりすぎない返信文にしたい」のほうが、方向が定まります。
ChatGPTにとって、目的は地図の目的地です。
目的地を言わずに「いい道を教えて」と聞かれたら、答えようがありません。 近道がいいのか、景色のいい道がいいのか、高速道路を使っていいのか。
答えが浅いときは、「自分は何を決めるために聞いたのか」を見直してみてください。 案外、自分でも決めていなかったことに気づきます。
3. 最初の回答だけで終わっていないか
そして、これが一番もったいないパターンです。
最初の回答は、たたき台です。 そこで終わらず、聞き返します。
「もう少し現場向けにして」 「この部分を詳しく」 「逆に注意点を出して」 「例を3つ出して」
ChatGPTは、一発で正解を出す道具というより、聞き返しながら答えを育てる相手です。
以前の記事では、AIを「考えを整理する相手」として使う話を書きました。
→ AIを仕事で使うなら、まずは「考えを整理する相手」として使うのがいい
今回の話は、その実践版です。 浅い答えで止まらず、もう一段聞き返す。これだけです。
浅い答えになりやすい聞き方
浅い答えを呼び込む聞き方には、共通点があります。
業務改善のアイデアをください。
この文章をいい感じにしてください。
AIを仕事で使う方法を教えてください。
どれも、状況が見えないんです。
「いい感じ」は人によって違います。 「業務改善」は広すぎます。 「AIを仕事で使う方法」と聞かれたAIは、文章作成・要約・アイデア出し……という、どこかで見たことのある一覧を返すしかありません。
ChatGPTは、こちらの職場も、相手も、目的も、困っている背景も知りません。 そこを渡さずに聞けば、一般論が返る。当然の結果です。
答えを深くするには、聞き方を少し変える
といっても、質問を大きく変える必要はありません。 材料を少し足すだけです。

1. ざっくり聞く
最初は、ざっくりで構いません。
会議メモを整理したいです。どう進めればいいですか?
入口はこれで十分です。 返ってきた答えを見て、「少し一般的だな」と思ったら次へ。
2. 条件を足す
製造現場の朝礼メモです。 参加者は5人で、決定事項・担当者・期限をあとから確認したいです。 この前提で、整理の仕方を考えてください。
これだけで、答えは現場寄りになります。
足すと効くのは、こういう情報です。
- どんな場面か
- 誰が使うのか
- 何を決めたいのか
- 何に困っているのか
- どんな制約があるのか
全部入れる必要はありません。 足りないと感じたところから、少しずつ。
3. 深く返る
条件を足したら、さらに聞き返します。
この案の中で、現場で一番つまずきやすい点を3つ教えてください。
反対されそうな点と、その説明方法を考えてください。
初心者でも使えるように、手順を3段階に分けてください。
最初の答えが浅かったとしても、それは質問の失敗ではありません。 次に足す材料が見えた、ということです。
「なぜそう言える?」と聞く
もうひとつ、効く聞き返しがあります。理由を聞くことです。
ChatGPTが「作業を自動化すると効率化できます」と答えたとします。 間違いではない。でも浅い。
そこで、こう返します。
なぜそう言えるのか、現場の作業に当てはめて説明してください。
理由を説明させると、答えの中身が見えてきます。
さらにおすすめなのが、これです。
この考え方が当てはまらないケースも教えてください。
メリットだけでなく、使えない場面や注意点も出してもらう。
ChatGPTの答えがきれいすぎるときは、あえて弱点を聞く。 答えが現実に近づきます。
「他の案と比べて」と聞く
浅い答えは、ひとつの案だけで終わっていることが多いです。
「こうするとよいです」とだけ言われても、それが本当に良いのか判断できません。
そんなときは、比較させます。
この案と別案を比較してください。 メリット・デメリット・現場での使いやすさで比べてください。
比較すると、AIは違いを説明する必要に迫られます。 だから答えが深くなる。
- すぐできる案
- 少し手間はかかるが効果が大きい案
- 現場には合わない可能性がある案
こう分けてもらえば、判断するのは自分です。 「正解を1つ出して」より、選択肢を比べてもらうほうが、現場では使えます。
答えが浅いときは、追加で聞けばいい
最初の答えがイマイチなことは、普通にあります。 それで終わらせなければいいだけです。
人に相談するときと同じです。
相談相手が一般的なことを言ったとき、私たちは席を立ちません。
「うちの場合はこうなんです」 「そこではなく、こっちが気になっています」 「もう少し具体例を出すとどうなりますか」
と会話を続けます。 ChatGPT相手でも、同じことをすればいいんです。
一発で深い答えを出させようとするより、浅い答えを材料にして、次の質問をする。 この感覚に切り替えてから、私のChatGPTの使い心地は明らかに変わりました。

答えを深くする聞き返しの例
実際に使いやすい聞き返しを挙げておきます。
もう少し具体例を入れて説明してください。
この答えが一般論になっている部分を指摘してください。
私の状況に合わせるために、追加で必要な情報を質問してください。
この案の弱点と、うまくいかないケースを教えてください。
現場で実行するなら、最初の一歩だけに絞ってください。
中でも一番便利なのは、「追加で必要な情報を質問してください」です。
これを使うと、足りない材料をChatGPT側から聞いてきてくれます。 自分で何を足せばいいか分からないとき、これほど楽な手はありません。
まとめ:答えが浅いときは、質問を失敗と決めつけなくていい
ChatGPTの答えが浅いとき、AIの性能を疑う前に見直すのは3つ。
- 材料が足りているか
- 目的がはっきりしているか
- 最初の回答だけで終わっていないか
材料が少なければ、一般論になる。 目的が曖昧なら、ぼんやりする。 聞き返さなければ、表面で止まる。
逆に言えば、材料を足し、目的を伝え、聞き返せば、答えは深くなります。
ChatGPTは、一発で完璧な答えを出す道具ではなく、やり取りしながら答えを育てる相手。
「この程度なのかな」と思ったあの頃の答えの浅さは、ほぼ全部、私の渡し方の浅さでした。
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「一発で完璧な答え」を求めない付き合い方は、こちらでも書いています。
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ナギのまとめコメント
「ChatGPT、思ったより浅いな」は、たぶん誰もが一度は通る道です。
私の場合、犯人はAIではなく自分の渡し方でした。 材料を足す。目的を言う。聞き返す。
一発で深い答えを求めず、浅い答えを材料にして次の質問をする。 そのくらいの気持ちで付き合うと、ChatGPTはちゃんと働いてくれます。