ChatGPTの入力欄の前で、固まったことはないでしょうか。
私はあります。何度も。
「どう聞けばいいんだろう」 「プロンプトってちゃんと書かないとダメなのかな」 「変な聞き方をしたら、変な答えが返ってきそう」
ひどいときは、質問文を10分くらいこねくり回した挙げ句、結局送らずに画面を閉じました。 質問する前に疲れてしまったんです。
きれいに聞けば、いい答えが返ってくる。 当時はそう信じていました。
でも、使い込んでいくうちに分かったのは逆でした。
きれいな文章は要りません。箇条書きで材料を渡せば、AIは動きます。
今日はその話です。
うまく質問しようとするから、止まる
ChatGPTで最初につまずくのは、たいてい「質問文の作り方」です。
ちゃんとした文章にしないといけない。 専門用語を使った方がよさそう。 うまい聞き方を知らないと使えない。
……本当にそうでしょうか?
人に相談するときのことを思い出してみてください。
考えがまとまっていない段階で、いきなりきれいに説明できる人はいません。 「えっと、何から話せばいいか分からないんですけど」から始まるのが普通です。
それでも相談は成立します。 聞き手が、整理を手伝ってくれるからです。
ChatGPTも同じです。 こちらが完璧な質問を用意する必要はなくて、散らかったままの材料を出せば、向こうが整理してくれます。
メモは書けるけど、説明は苦手。 それなら、メモのまま渡せばいいんです。
箇条書きなら、考え途中でも渡せる
たとえば、こんな箇条書きがあるとします。
・Excel作業を減らしたい ・毎日同じ転記をしている ・ミスが出る ・VBAは少し分かるけど自信がない ・何から相談すればいいか分からない ・まず整理してほしい
文章としては成立していません。ただのメモです。
でも、この下に1行足すだけで相談になります。
上の箇条書きをもとに、状況を整理してください。 何をAIに相談すればよいか、順番にまとめてください。
これだけで、ChatGPTは「今の困りごと」「整理すべき情報」「次に聞くべきこと」を分けて返してきます。
箇条書きは、完成した質問ではありません。 質問を作るための材料です。
料理でいえば、まだカレーになっていない状態。 じゃがいもとにんじんと玉ねぎを、机にドンと出しただけです。
それでいいんです。 材料さえ出てしまえば、煮込む作業はAIと一緒にやれます。

文章にする前に、まず材料を出す
私が仕事のことを相談するときも、最初はこのくらい粗い状態で渡しています。
・現場で日報を集計している ・紙とExcelが混ざっている ・毎月の集計に時間がかかる ・担当者によって書き方が違う ・できればAIに整理を手伝ってほしい ・いきなりシステム化ではなく、まず課題を見たい
質問文としては粗い。 でも、これで通じます。
この箇条書きをもとに、課題を整理してください。 似た内容をグループ分けして、次に考えるべきことを教えてください。
返ってくるのは、「作業の流れ」「困っていること」「原因になっていそうなこと」「すぐできる改善」「まだ確認が必要なこと」といった整理です。
面白いのはここからで、AIの整理を読んでいる途中に「あ、問題はそこだったのか」と自分のほうが先に気づくことがよくあります。
答えをもらう前に、自分の頭が整理されてしまう。 AIの一番おいしい使い方は、案外これかもしれません。
渡すときの「型」は5つだけ
毎回ゼロから箇条書きを考えるのも面倒なので、私は型を決めています。
- 今の状況
- 困っていること
- やりたいこと
- 決まっていること
- まだ分からないこと
この5つ。これだけです。
たとえば、こんな形になります。
【今の状況】 ・毎日Excelで受注データを集計している ・担当者ごとに手作業でまとめている
【困っていること】 ・時間がかかる ・転記ミスがある ・毎回同じ作業をしている
【やりたいこと】 ・できれば自動化したい ・まず何を整理すればいいか知りたい
【決まっていること】 ・Excelは使う ・会社の実データは貼れない
【まだ分からないこと】 ・関数でできるのかVBAが必要なのか分からない
このくらいで十分です。
きれいに書こうとしなくていい。 頭の中にあるものを、いったん外に出す。それが全部です。
外に出しさえすれば、並べ替えるのも、足りない点を聞いてくるのも、次の一歩を提案するのも、AIの仕事になります。

悪い例・良い例で比べてみる
頼み方でどれくらい変わるのか、並べてみます。
悪い例
仕事を効率化したいです。 何をすればいいですか?
答えは返ってきます。返ってきますが……
「タスク管理をしましょう」 「自動化できる作業を探しましょう」 「AIツールを活用しましょう」
という、どこかで読んだような一般論になりがちです。
AIが悪いのではありません。 渡した材料が少なすぎるんです。
良い例
仕事の効率化について相談です。
・毎日Excelで作業実績を集計している ・紙のメモを見ながら入力している ・担当者によって書き方が違う ・集計に毎日20分くらいかかる ・ミスが出ると確認に時間がかかる ・いきなりVBAを書くより、まず作業を整理したい
この内容をもとに、課題を整理してください。 そのうえで、AIに相談する順番を考えてください。
ふたつの違いは、文章のうまさではありません。 材料の量です。
AIにとって大事なのは、文章の美しさより、判断に使える材料があるかどうか。 ここを押さえると、質問のハードルが一気に下がります。

仕上げはAIに「整えて」と頼めばいい
材料を出したあとは、整える作業もAIに任せられます。
この箇条書きを、相談文として分かりやすく整理してください。
この内容を、現状・困りごと・やりたいことに分けてください。
足りない情報があれば、質問してください。
特に最後の「足りない情報があれば質問して」は便利で、自分では気づかない抜けを、AIのほうから聞いてきてくれます。
自分ではぐちゃぐちゃだと思っていたメモが、渡してみると意外ときれいに並ぶ。 最初にこれを見たときは、正直ちょっと悔しかったです。
もちろん、AIの整理がいつも正しいわけではありません。 でも、たたき台としては十分です。
「ここは違う」「これは合ってる」と直していくうちに、自分の考えの輪郭もはっきりしてきます。
箇条書きは、考えることのサボりではない
ひとつだけ、注意を。
箇条書きで渡すのは、考えることをAIに丸投げするという意味ではありません。 むしろ逆です。
何も渡さずに「いい感じにして」と頼めば、AIは一般論しか返せません。 自分の現場で起きていることを出すから、AIは具体的に整理できます。
先に、自分の材料を出す。 その材料を、AIと一緒に並べ替える。
この順番だけは、AIに譲らないほうがいいと思っています。
AIを整理相手として使う考え方は、こちらの記事で詳しく書いています。
→ AIを仕事で使うなら、まずは「考えを整理する相手」として使うのがいい
まとめ:きれいな質問より、粗い箇条書き
ChatGPTにうまく質問できないなら、文章を作るのをやめて、箇条書きで出す。
- 今の状況
- 困っていること
- やりたいこと
- 決まっていること
- まだ分からないこと
メモするのは、この5つだけで十分です。
質問の上手さとは、特別なプロンプトを覚えることではなく、自分の状況を外に出せること。 私の場合、AIを使い始めて一番効いたのは、プロンプトの技術ではなくこの「型」でした。
質問文を10分こねくり回していたあの頃の自分に、教えてあげたいです。
この型を毎日の仕事に定着させるコツは「会社員がAIを毎日使うための小さな習慣」に書きました。