AIで何かを作ろうとするとき、最初に出てくる壁があります。

「これ、もう世の中にあるよな」

という気持ちです。

記録アプリ。タスク管理。メモアプリ。在庫管理。チェックリスト。 調べれば、似たものはたいてい出てきます。

そして、こうなります。

「わざわざ自分で作る意味あるのか」

「すでにあるなら、それを使えばいいのでは」

「自分が作っても、劣化版になるだけでは」

私も、ここで何度も手が止まりました。

でも、いまは考えが変わっています。

完成品として世に出すためではなく、自分が仕組みを理解するためなら、車輪の再発明でいい

この記事は、その理由の話です。

この記事で分かること
1

すでに似たサービスがあると、なぜ作る手が止まるのか

2

車輪の再発明でも、自分で作る意味がある理由

3

非エンジニアがAIと一緒に開発するときに得られるもの

4

「完成度」よりも「動くところまで持っていく経験」が大事な理由

作る前に、手が止まる理由

AIに相談しながら何かを作ろうとすると、最初は楽しいんです。

「こういう仕組みがあったら便利かも」

「この作業、自動化できるかも」

そう思って調べ始める。

そして、少し検索した瞬間、似たサービスがずらっと出てくる。 気持ちは一気に冷めます。

「もうあるなら、作らなくていいか」

「プロが作ったものの方が良いに決まっている」

自然な反応だと思います。

特に非エンジニアは、もともと開発に自信があるわけではありません。 すでに世の中にあるものを見ると、作る前から負けた気持ちになる。

作る前に手が止まる3つの壁を整理した図解

でも、ここで一度、考え直してみてほしいんです。

目的が違えば、作る意味も変わる

完成品として売るなら、既存サービスとの比較は必要です。 何が良いのか。誰が使うのか。お金を払ってもらえるのか。

でも、最初からそこを目指さなくていい

自分の目的が、

  • 仕組みを理解したい
  • AIと開発する流れを経験したい
  • 自分用に小さく使いたい
  • 作って動くところまで体験したい

なら、似たものが世の中に100個あっても、関係ありません。

むしろ、車輪の再発明でいい

車輪の再発明とは、すでにあるものをもう一度作ること。効率だけで見れば無駄に見えますが、自分で一度作ると、ただ使うだけでは分からないことが見えてきます。

自分で作ると何が見えるか

自分で作ると、裏側が少し見える

市販のサービスを使うだけなら、見えるのは画面に表示されている部分だけです。

自分で作ろうとした瞬間、見える世界が変わります。

  • どんな情報を入力するのか
  • その情報をどこに保存するのか
  • 間違って入力したときはどうするのか
  • スマホで見たときに使いやすいか
  • 他人に見られて困る情報はないか

ひとつずつ、考えざるをえなくなる。

これは、完成品を使うだけではなかなか得られない感覚です。自分で作ることで、サービスの裏側が少し見えるようになります。

普段なにげなく使っているアプリへの見方まで変わります。 「ああ、これ、裏でこういう苦労をしてるんだろうな」と。

AIと作ると、考え方も鍛えられる

AIに開発を手伝ってもらうにも、「アプリを作って」では動きません。

  • 何を作りたいのか
  • 誰が使うのか
  • どんな情報を入れるのか
  • どう表示したいのか
  • どこまで作れれば一旦OKなのか

これを自分で考えて、伝える必要があります。

要件整理とは、何を作りたいのか、何ができればよいのかを先に決めること。AIと開発するときは、コードを書く力だけでなく、この整理する力も必要になります。

そして、この整理する力。 仕事にもそのまま効いてきます。 ここが、非エンジニアにとって一番大きな学びだと思っています。

動くところまで持っていく経験が大事

作り始めるだけなら、簡単です。 AIに聞けば、コードのたたき台も、画面のイメージも、フォルダ構成も出てきます。

本当の勝負は、そこからです。

  • エラーが出る
  • 表示が崩れる
  • 思った通りに保存されない
  • スマホで見たら使いにくい
  • ログインまわりでつまずく

必ず、出ます。全部、私も踏みました。

そこで止まらずに、AIに相談しながら直して、小さくてもいいから「動く」ところまで持っていく。

AI開発で大事な流れを整理した図解

完璧なサービスを作ることより、自分で考えたものが実際に動くところまで行くこと。そこに大きな価値があると感じています。

初めて自分の作ったものが動いた瞬間のことは、たぶん一生覚えています。

作ったものをどう扱うか

既存サービスを使うことと、自分で作ることは別

念のため言うと、すべてを自作すればいいとは思っていません。

実際に使うだけなら、既存サービスのほうが早い。 仕事で安定して使うなら、実績のあるサービスのほうが安全。

既存サービスを使う場合と自分で作る場合の違いを比較した図解

既存サービスを使うのは、便利さを得るため。自分で作るのは、仕組みを理解するため。目的が違います。

目的が違うのだから、「すでに世の中にあるから作る意味がない」にはならないんです。

作ったものを公開しなくてもいい

もうひとつ。 AIで作ったものを、公開する義務はありません。

自分用でいい。家族用でいい。途中で止めてもいい。

大事なのは、

  • なぜ作ろうと思ったのか
  • どこまで作れたのか
  • どこでつまずいたのか
  • 何を学んだのか
  • 公開するかしないかをどう判断したのか

を残すことです。

私も家族用のWebアプリを作りましたが、一般公開はしないと判断しました。 それでも失敗ではありません。

作ったことで、AIとの開発の流れ、情報を扱う責任、運営することの重さが分かった。 それだけで、十分に元が取れています。

車輪の再発明でいい

すでにあるものを、もう一度自分で作ってみる。

効率だけで見れば、遠回りです。 でも、非エンジニアがAIで開発を学ぶなら、その遠回りにこそ意味があります

最初から、誰も作っていない新しいものを狙わなくていい。

  • まずは、自分が欲しいと思ったものを作ってみる
  • 似たものが世の中にあってもいい
  • 小さくていい
  • 自分用でいい
  • 公開しなくてもいい

AIに相談しながら、実際に動くところまで持っていく。 その経験は、誰にも奪われずに自分の中に残ります。

車輪の再発明でも得られるものを整理した図解

まとめ:作る意味は、完成品だけにあるわけではない

すでに似たサービスがあると、作る意味がないように感じます。 私もそう思って、何度も手を止めてきました。

でも、作る意味は完成品だけにあるわけではありません

自分で考える。AIに伝える。エラーを直す。動くところまで持っていく。使ってみる。判断する。この一連の流れを体験することに意味があります。

車輪の再発明でもいい。 一度、自分の作りたいものをAIと一緒に作ってみる。

そこから見えるものは、思っているより多いです。

作る前に何を考えておくといいかは「非エンジニアでもアプリを作れる時代に、作る前に考えたいこと」に、実際に作ってみた記録は「AIと一緒に家族用の記録アプリを作ってみた話」にまとめています。

よくある質問

車輪の再発明とは何ですか?
すでに世の中にあるものを、もう一度自分で作ることです。効率だけで見れば無駄に見えますが、仕組みを理解するためなら大きな学びになります。
すでにあるサービスと同じものを作る意味はありますか?
あります。目的が「完成品を売ること」ではなく「仕組みを理解すること」なら、既存サービスの有無は関係ありません。自分で作ることで、裏側の仕組みや判断の流れが見えるようになります。
非エンジニアがAIで開発すると何が身につきますか?
コードを書く力だけでなく、「何を作りたいのか」「誰が使うのか」を整理する要件整理の力が鍛えられます。AIに伝える過程で、自分の考えも整理されていきます。
AIで作ったものは必ず公開しないといけませんか?
いいえ。自分用や家族用のままでも、作る過程で得た経験には価値があります。公開するかどうかは、責任を持てるかどうかで判断すれば大丈夫です。
AI開発で一番大事なことは何ですか?
完璧なものを作ることより、小さくても「動くところまで持っていく」ことです。エラーを直し、AIに相談しながら完成させる一連の経験が、次の開発につながります。