AIにアプリ開発の相談をすると、ある時点で必ずこう言われます。
「データベースはSupabaseを使いましょう」 「公開はVercelが簡単です」
初めて聞いたとき、私の頭の中はこうでした。
「スーパベース……?」
AIは当たり前のように話を進めてくれます。 手順通りにやれば、動くものはできます。実際、できました。
でも、自分が何を契約して、どこに何を預けたのか分からないまま進むのは、正直けっこう怖かった。
今日は、あの頃の自分が知りたかったことをまとめます。 技術解説ではなく、「契約ボタンを押す前に分かっておきたいこと」の話です。
SupabaseとVercelがそれぞれ「何の係」なのか
無料プランの落とし穴(実体験あり)
登録前に決めておきたい3つのこと
アプリは「置き場所」と「保管庫」でできている
まず全体像から。
Webアプリは、ざっくり言うと2つの部品でできています。

**Vercelは「アプリの置き場所」**です。 作ったアプリをここに置くと、URLが発行されて、ブラウザから見られるようになります。お店でいえば、店舗を構える土地です。
**Supabaseは「データの保管庫」**です。 アプリに入力した記録は、ここに保存されます。お店でいえば、商品台帳や顧客台帳をしまっておく金庫です。
似たような役割のサービスは他にもあります(置き場所ならCloudflare、Netlify。保管庫ならFirebaseなど)。 AIがSupabaseやVercelを勧めてくるのは、無料で始められて、情報が多くて、組み合わせの実績が多いから。妥当な提案です。
ここまで分かっていれば、AIの説明は一気に読みやすくなります。 「いま土地の話をしてるのか、金庫の話をしてるのか」が分かるからです。
無料プランには「無料の理由」がある
どちらも無料で始められます。個人開発ならずっと無料の範囲で収まることも多いです。
ただし、無料には条件があります。 私が実際に踏んだ落とし穴がこれです。
Supabaseの無料プランは、しばらくアクセスがないと一時停止します。
家族用のアプリを作って、満足して、数週間あまり使わない時期がありました。 ある日開いたら、アプリがエラーで動かない。壊したかと焦りました。
原因は故障ではなく、仕様でした。 無料プランでは、一定期間アクセスがないとデータベースが「休眠」します。管理画面から再開ボタンを押せば戻りますが、知らなければ「壊れた」と思うやつです。

他にも、無料プランには共通の性格があります。
- 容量・回数に上限がある(個人利用なら普通は超えません)
- 止まったときに誰も教えてくれない(自分で気づく必要がある)
- 仕様は変わることがある(無料の範囲が狭くなることもある)
「無料で使える」は本当です。 ただ、「無料で、何もしなくてもずっと動き続ける」ではない。ここだけ覚えておくと、いざという時に焦りません。
登録前に決めておきたい3つのこと
実際に手を動かす前に、3つだけ決めておくことをおすすめします。
1. 何のデータを預けるのかを決める
保管庫に入れるのが「自分の読書メモ」なのか「家族の記録」なのかで、慎重さのレベルが変わります。
預けるデータに人の情報や健康の情報が入るなら、公開範囲とログインの設計はAI任せにせず、自分で理解できるまで聞いた方がいいです。 私が家族用アプリを一般公開しないと決めたのも、この理由からでした。
→ 非エンジニアがAIでWebアプリを作ったあと、一般公開しないと決めた理由
2. 登録用のアカウントを整理しておく
SupabaseもVercelも、GitHubアカウントで登録するのが標準的な流れです。 つまり実質、GitHub・Supabase・Vercelの3つのサービスと付き合うことになります。
どのメールアドレスで登録したかを、メモ1枚でいいので残しておいてください。 数ヶ月後の自分は、確実に忘れています(忘れました)。
3. 「秘密の鍵」の置き場所を最初に決める
SupabaseをつなぐとAPIキーという「秘密の鍵」が発行されます。 これをコードに直接書くと、コードを公開した瞬間に鍵ごと公開されます。
ルールは1つだけ。
鍵は .env というファイルに入れて、コードには書かない。
AIに「APIキーは.envに入れて、コードに直接書かないでください」と最初に言っておけば、そのように作ってくれます。 この一言を最初に言えるかどうかが、たぶん一番大事な分かれ道です。

分からないまま進めず、AIに「説明係」もやらせる
最後に、一番使えるコツを。
SupabaseやVercelの設定中に分からない画面が出たら、その都度AIに聞いていいんです。
いまSupabaseの設定画面で「Row Level Security」というものが出てきました。 非エンジニアにも分かる言葉で、これが何で、オンにすべきか教えてください。
AIは開発の相談相手であると同時に、契約内容の通訳もしてくれます。 「とりあえずOKを押す」を減らせるだけで、あとから分からなくなる場面が激減します。
Claude Codeで開発を始めたときに感じた壁については、こちらで書いています。
→ 非エンジニアがClaude Codeでアプリを作るとき、最初に感じた壁
まとめ:道具の名前に怯まなくていい
- Vercelは置き場所、Supabaseは保管庫。役割が分かれば怖くない
- 無料プランは「使わないと止まる」ことがある。壊れたと焦らない
- 預けるデータ・登録アカウント・鍵の置き場所。この3つだけ先に決める
- 分からない画面は、AIに通訳させてから進む
カタカナのサービス名が並ぶと、それだけで「自分には無理かも」と感じます。 でも、中身は土地と金庫です。 名前に怯まず、役割で理解する。非エンジニアの開発は、それで十分回ります。